コラム
空き家放置で罰則が適用される?固定資産税増額と強制解体のリスク
空き家整理
2026年1月10日
空き家を所有している、あるいは相続したものの、管理が行き届かず、そのまま放置してしまっているという状況は少なくありません。
景観の悪化や防犯上の問題だけでなく、所有者自身の資産価値にも影響を与えかねない空き家問題ですが、近年、その対策は行政による介入も視野に入れた、より踏み込んだものとなっています。
特に、空き家を放置し続けることで、どのような法的な措置が取られ、具体的にどのような費用負担が発生するのか、その実態を把握しておくことは、所有者にとって急務と言えるでしょう。
目次
空き家放置で科される罰則
行政による指導・勧告の段階
空き家対策特別措置法に基づき、地方自治体は管理が行われていない空き家に対し、段階的な措置を講じることができます。
まず、市町村は現地調査等を通じて、建物の老朽化や周辺環境への影響などを評価し、「特定空家等」に該当するかどうかを判断します。
特定空家等と認定された場合、所有者に対しては、まず改善を促すための「助言」や「指導」が行われます。
これに応じない場合、さらに踏み込んだ「勧告」がなされます。
勧告は、公表されることもあるため、所有者にとっては信用にも関わる事態となり得ます。
固定資産税の負担増
行政からの「勧告」が行われると、空き家が建つ土地に対する固定資産税の優遇措置が解除される可能性が高まります。
通常、住宅が建っている土地(住宅用地)は、固定資産税が評価額の6分の1に減額される特例措置がありますが、特定空家等に対する勧告を受けた土地は、この特例措置の対象から外されることがあります。
その結果、固定資産税額は最大で6倍にまで跳ね上がり、所有者の経済的な負担は著しく増大することになります。
強制執行(解体)のリスク
勧告を受けた後も所有者が改善措置を講じない場合、行政は最終手段として「命令」を下すことがあります。
この命令にも従わない悪質なケースにおいては、行政代執行法に基づき、行政が所有者に代わって建物を取り壊す「強制執行」が実施される可能性があります。
この場合、解体にかかった費用はすべて所有者の負担となり、後日、行政から請求されることになります。
解体費用は高額になることが多く、所有者にとっては予期せぬ、かつ大きな経済的リスクとなります。

放置空き家に対する具体的な費用負担と期間の目安は?
固定資産税が最大6倍になる仕組み
固定資産税は、土地や家屋の固定資産税評価額に基づいて計算されます。
住宅が建ち、居住されている土地は「住宅用地」とみなされ、その広さに応じて課税標準額が軽減される特例措置が適用されます。
例えば、小規模住宅用地(200㎡以下)の場合、評価額の1/6が課税標準額となります。
しかし、空き家が「特定空家等」と認定され、行政から勧告を受けると、この住宅用地としての特例措置が解除され、原則として評価額の70%(小規模住宅用地でない場合)または評価額そのもの(一般住宅用地)が課税標準額となります。
これにより、税額が従前の最大6倍になるという計算になります。
強制解体にかかる費用
空き家の強制解体にかかる費用は、建物の構造、規模、立地条件、解体工事の難易度などによって大きく変動しますが、一般的に木造家屋で1平方メートルあたり3万円~5万円程度、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の場合はさらに高額になります。
例えば、延べ床面積100平方メートルの木造住宅であれば、解体工事費だけで300万円~500万円程度が見込まれ、これに加えて廃材の運搬・処分費用、整地費用などが加算されます。
行政代執行の場合、これらの費用は一旦行政が立て替えますが、後日、所有者に対して請求されることになります。
罰則適用までの期間基準
空き家が特定空家等に認定され、行政による指導、勧告、命令、さらには強制執行といった段階的な措置が講じられるまでの期間について、法律で明確に「○年」といった画一的な基準が定められているわけではありません。
個々の空き家の状態、周辺地域への危険性や迷惑の度合い、そして所有者による改善への取り組み姿勢などが総合的に判断されます。
しかし、一般的には、空き家となった時点から数年が経過し、著しい老朽化や危険性が確認された場合に、行政の措置が検討されやすくなる傾向があります。
放置期間が長くなればなるほど、状態は悪化し、最終的な強制執行に至るリスクも高まるため、早期の対応が極めて重要です。
まとめ
空き家を放置することは、単なる管理不足にとどまらず、固定資産税の増額や、最悪の場合には行政による強制解体という経済的負担を招くリスクをはらんでいます。
行政からの指導・勧告という段階を経て、特定空家等に認定されると、住宅用地特例が解除され、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。
さらに改善が見られない場合は、解体費用を所有者が負担する強制執行に至ることもあり得ます。
これらの措置が講じられるまでの期間に明確な基準はありませんが、放置期間の長期化や状態の悪化は、行政介入のリスクを高めます。
空き家問題は、所有者自身の責任において、早期かつ適切に対処することが、将来的な負担を回避する上で不可欠といえるでしょう。








