コラム
ゴミ屋敷の入居者はなぜ退去できない?段階的な退去方法とは
ゴミ屋敷
2026年3月1日
ゴミ屋敷となってしまった賃貸物件の管理は、多くのオーナーや管理会社にとって頭の痛い問題です。
近隣への迷惑や建物の資産価値低下につながる状況にもかかわらず、入居者をすぐに退去させることが難しいケースは少なくありません。
これは、借家人には法的に保護された権利があり、一方的な解除が認められないためです。
では、どのような理由から、ゴミ屋敷の入居者は簡単には退去できないのでしょうか。
そして、この問題を解決するためには、どのような手順を踏むべきなのでしょうか。
目次
ゴミ屋敷の入居者はなぜ退去できないのか
借家権で入居者は保護されている
賃貸物件の入居者は、借地借家法によって「借家権」という権利で手厚く保護されています。
この権利により、貸主(大家さん)が一方的に賃貸借契約を解除したり、契約の更新を拒否したりすることは原則としてできません。
たとえ入居者の行為が物件の管理上問題となるような状態であっても、直ちに契約を解除できるわけではないのです。
退去の正当事由証明に時間がかかる
貸主が契約の解除や更新の拒否を行うためには、法律で定められた「正当事由」が必要となります。
ゴミ屋敷の状態が、貸主と借主の間の信頼関係が破綻している、あるいは物件の使用状況が社会通念から著しく逸脱しているといった理由で「正当事由」に該当する可能性はあります。
しかし、それを法的に証明し、裁判所などの第三者に認めてもらうには、多くの証拠収集と時間が必要となるのが実情です。

ゴミ屋敷の入居者を退去させるには
段階的な注意と記録で証拠を残す
ゴミ屋敷の問題解決には、まず段階的なアプローチが重要です。
入居者に対し、ゴミの片付けを求める際は、口頭だけでなく書面(文書)でも通知し、その日時や対応内容を詳細に記録しておくことが不可欠です。
これは、後々、貸主と借主の信頼関係が破綻していることなどを証明するための重要な証拠となります。
内容証明郵便や行政への相談も活用する
口頭や文書での注意に応じてもらえない場合は、内容証明郵便を利用して正式に通知することが有効です。
これにより、通知した事実と内容が公的に証明され、法的手続きにおける証拠力が高まります。
また、同時に、物件が所在する自治体のゴミ屋敷に関する条例などを確認し、行政機関へ相談することも検討しましょう。
自治体によっては、条例に基づいた指導や勧告、さらには行政代執行といった措置が取られる場合もあります。
最終手段として明け渡し訴訟を検討する
上記のような段階的な対応や行政への相談を経ても状況が改善されない場合、最終手段として明け渡し訴訟を検討することになります。
訴訟においては、これまでの注意勧告の記録や、ゴミ屋敷化による近隣への迷惑、衛生上の問題、火災リスクなどを具体的に立証する必要があります。
過去の判例では、再三の注意にもかかわらず長期間にわたり改善が見られない場合、契約解除が認められたケースもありますが、訴訟には時間と費用がかかることを理解しておく必要があります。

まとめ
ゴミ屋敷の入居者を退去させることは、借家権という強力な法的保護があるため、容易ではありません。
貸主側は、感情的に対応するのではなく、まず入居者への段階的な注意喚起を確実に行い、その全てのやり取りを詳細に記録することが極めて重要です。
内容証明郵便の活用や、行政への相談も有効な手段となり得ます。
これらの努力を尽くしても改善が見られない場合に、最終的な選択肢として明け渡し訴訟を視野に入れることになります。
問題解決には根気と法的手続きの理解が不可欠であり、専門家への相談も有効な手段となります。







